2010年05月22日

虐待はどんな傷を残すのか

この頃、悲しいことに、毎日のように幼児虐待のニュースが飛び込んで来ます。
私達は、豊かさと引き換えに、親としての本能が退化してしまったのでしょうか?

祝福されて生まれて来たはずの子供達のはずなのに
虐待されて、命を落としたり
そのトラウマから、成長しても心の病を患ったりしています。

そのような親としての資格が無い人達から
一刻も早く子供達を守る国の制度が急がれます。

※以下はサンケイ新聞からの転載です。

「僕のこと、ふつうに見えますか」

長身で色白の青年は、統合失調症による精神障害者手帳を持っていた。さいたま市のカラオケ店員、山口拓也さん(19)=仮名。小学5年のときに実母(45)が再婚、継父(43)から身体的虐待を受け、市内の児童養護施設で育った。

 「夕食を食べるのが遅かったので、テーブルに時計を置かれ、30分以内に食べないと殴られた。猫背や、つめをかむ癖も『直せ』といって殴られた。1発、2発ではなく、のしかかられて腕を押さえつけられ、顔だけを殴られたり、木の棒で頭を殴られたりした」

 継父は「大きくなれ」といって食事を吐くまで食べさせた。食べきれず吐き出すと、吐いた物を再び食べさせられた。コンクリート製のベランダで深夜まで正座させられ、生卵5、6個の一気飲みを強いられた。

 中学1年のとき、木刀を手に追いかけられた。裸足(はだし)で外へ逃げたら偶然、家庭科の女の先生に会った。「親に裸足で走れといわれた」とごまかしたが、先生は自宅を見に来てくれ、警察を通じて児童相談所へ通報が行った。

 「施設へ入ったら、不眠と幻聴が始まった。ひそひそ話が聞こえ、幻覚が見えた。情緒不安定のため県立高校を2年で中退し、定時制に入り直したけれど続かなかった。今も通院中で薬を6種類飲んでいます」


「男なら捨てていた」

 東京都内に住むゲームショップ店員、南裕子さん(27)=同=は男物のカーキ色のジャケットとジーンズ姿で現れた。髪は短めで化粧気もない。女性であるが、心がそうではいられないという。

 幼いころ、「教育ママ」だった実母(51)から身体的、心理的虐待を受けた。習い事がうまくできないと「なぜできないの!」と叩(たた)かれ、振る舞いや言葉遣いが意に沿わないと平手打ちされた。「欧米のしつけ」と定規で手の甲を叩かれ、かっとなると包丁が飛んできた。

 「口答えするとさらに叱(しか)られ、黙り込むと叱られ、泣いても叱られ、どうしていいか分からずパニックになった。いつもびくびくして、自分からは何もやらなくなった。暗い子供というより、人形のようだった」

 母は男の子がきらいだった。「あんたが女の子だから育ててるんだから」「男だったら捨てていた」と何度も聞かされた。

 「男だったら捨てられる…。この恐怖は幼心にとても重たいものだった。私は『女の子』になろうと努力した。人形遊びやおままごとをやってみせ、好きではない色の洋服を着た」

 専門学校を出て、22歳で初めて母と離れて暮らし、解放されたと感じた。服装を自由に選ぶようになると男装を始めていたという。

 「親から認められないことほど子供を苦しめることはないと思う。自分の存在価値をどこに置けばいいか分からず、自己の確立が遅れてしまう。傷は大人になっても影響が続くのです」

「いまさら何を心配」

 大正大学の玉井邦夫教授(50)=臨床心理学=は「交通事故やいじめ、大災害などさまざまなトラウマ(心的外傷)の中でも、虐待は最も深い傷を残す」と指摘し、こう続けた。

 「虐待と一口に言っても身体的虐待とネグレクト(育児放棄)、心理的虐待、性的虐待では影響は異なり、一人の子供の中で複合している。回復は時間を要し、また個別性が非常に高いため一人一人に適切な対応が求められる」

 児童虐待として認知される件数は年間4万件を超え、増え続けている。国の統計がある平成2~20年度の19年間の累計は31万7767件。一人の子供が何度か認知された重複もあるが、虐待経験を持つ若い世代が把握されただけでも数十万人、今も社会の中で暮らしていることになる。

 精神障害に苦しむ山口さんは昨春、施設を出てアパートで独り暮らしを始めた。継父と実母は同じ埼玉県内にいる。夫に逆らえず一緒になって虐待していた母親は最近、訪ねてきて洗濯用の洗剤と現金3千円を置いていった。

 「様子を見に来たのだろうが、いまさら何を心配してんのと思った。両親に対しては『無』ですね。どーでもいいとすら感じない。まったく意識していない。たぶん死んでも何も感じないだろう」

きみは愛されるため生まれた (You Were Born to be Loved) - 松本優香


上の曲は韓国で生まれたゴスペルで
地下鉄のホームにBGMとして流したところ、自殺者が減ったそうです。
僕はこの数日、この歌の「きみは愛されるために生まれた」と言うフレーズが
頭の中をぐるぐる回っています。



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Posted by goyaman at 23:32│Comments(4)一般
この記事へのコメント
日頃は上に○○が付くくらい明るい夫婦ですが、
そんなニュースが流れると、無口になってしまいます。

わが家のように子供に縁がなかった夫婦にとって、
辛くて、何より悔しいニュースですね。
Posted by myaomyao at 2010年05月23日 06:54
myaoさんは、お子さんがいらっしゃらないのですね。
それだけに、余計に憤りが大きいと思います。
僕達に出来る事
それは、子供達に注意を注いで
何かあったら、然るべき所に通報する事だと思います。
アメリカでは、車に子供だけ乗せているだけで
逮捕される位、厳しいそうです。
Posted by goyamangoyaman at 2010年05月23日 09:41
川満ちゃん、このような問題点は結局は日本の教育指針が学力だけを重要視して、一番大切な人間力をおろそかにして他人との蹴落とし合いをしたが為に、自分さえ良ければ良いと思うようになったのでしょうね…


何十年も前から、共働きで子どもに対する愛情不足を仕方ないとあきらめてしまい、子どもが愛情を求めている事に目を背けて来た結果がこんな社会を作って来たのでしょう…


鍵っ子が当たり前の社会になっても、他人事だと目をつむって見過ごして来た報いだと私は考えています!!


今こそ、日本の教育指針を倫理観・道徳教育を重点的に教える教育に、直ぐに切り替えなければ日本国は最悪な社会になってしまいます…

親たちの頃に受けた教育が、他人は蹴落とす敵だと潜在意識に刻まれているはずでしょうから、親になってもどのように子どもに愛情を注いでいいのか、きっと解らずに自分が親から育てられて来たようにしか、子育て出来ずに愛情の与え方さえ解らずに育てた結果が家庭崩壊を引き起こしていますね……

その原点は、第二次対戦で日本が負けた後にアメリカは日本人から牙(誇り・自尊心・愛国心・家族愛など)を弱める為の、日本人にするような本心を織り込んだ政策を作ってアメリカに対して服従する、従順な日本人を作り上げて来ました!!

全ての原点は、やはり日本国の教育に有ると私は思っています!!

取り返しのつかない状況から、早く教育指針を変えなければ子どもたちを救えません!!

心の教育が出来る、本当の先生方を本気で育てなければなりませんね~!!!

沖縄県の分岐点は、祖国復帰と称して違う国と(琉球国です!!)合併した事により、沖教組から日教組へ移り行き競争力重視に変わった事により、子どもたちの心が変わって来ました!!

私たち大人が、今こそ急いで子どもたちを守らなければなりません!!

帰って来たら、一緒に話し合いましょうね!!

長々と書きましたが、ごめんね~…
Posted by ゲンちゃん at 2010年05月23日 17:22
さすが元治さんです。
子供達の虐待問題に関しての意見は研ぎ澄まされていますね。
僕も元治さんと、全く同感です。

倫理とか道徳とか言うと
すぐに日教組から右翼的と反対が起きました。
その後にしらけ世代が誕生しました。

アメリカは、確かに戦後、日本が二度と復興せずに
アメリカの奴隷化の為に
日本に対して洗脳教育を始めました。

沖縄もそうです。
日の丸を掲げて復帰運動に参加した先生達を
はっきり覚えていましたし
復帰前でも日本の祝日には沢山の家庭で
日の丸を掲げていました。

それがいつの間にか
国旗は悪の象徴のようになってしまいました。
何処の国でも国を愛する事は
普通に学校で教えられるのに
日本はおかしいです。

詰め込み教育をする前に
倫理や道徳を中心に教えて
立派な人間になるよう教育しなければ
今後の日本は、大変な事になると思います。
Posted by goyamangoyaman at 2010年05月23日 17:47
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